収穫編
平成24年11月記す、の巻。
今年は去年と違いひょうたんが豊作だ。
猫のひたいも笑う庭、にひょうたんがなった。自宅玄関正面側には大びょうたん、右寄りのフェンスは千成ひょうたん(小型のひょうたん)が植えてあり、ともに自称大豊作だ。結局去年は一個もひょうたんがならなかったので嬉しい。
せっかくきれいに実をつけたので、多くのひょうたんをできればそのまま、できるだけひょうたんらしい雰囲気で残したい。一方で、玉石混合の中から特にきれいな形のものを選び、ひょうたんの持つ美しさを存分に発揮する逸品も作りたい。残念ながらきれいなひょうたんは気紛れだ。きれいなひょうたんが成長し、満足のいく形で仕上がることはまれだ。気まぐれな自然と幸運の接点、ほんの一瞬に垣間見せる極上の美。それを永遠に封入し掌中にしたい。雑多な思いを抱きつつ、悪戦苦闘しながらの制作途中経過を記録してゆくことにした。悪文の補足手段として随所に「傾向と対策」を配置した。ご理解の一助になればと思う。
平成24年10月12日 Day 0 大収穫
豊作である。つるが枯れるまで待ってから収穫しようと思っていたが、秋は容赦なく深まってゆく。ひょうたんの葉っぱはカリカリに枯れてきたのに、つるはいっこうに枯れず、青々としている。明日こそ収穫だと思いながら、つるの青さを見て収穫がずるずる後に延びた。見切り発車ではないが、ほどほど加減で収穫に踏み切った。実の肉厚に十分な手ごたえあり。右奥フェンスの千成ひょうたん群はあと2週間後の収穫とした。
大びょうたんの収穫は全部で20個ほどで、肉厚から考えると収穫時期はちょうど良い。この日のうちにすべて電動ドリルで穴開けをする。口径6 mm。
今年の穴開けは例年通りのへたを切った上に口元から穴をあけるやり方に加え、2つのやり方を追加した。ひとつはへたを少し残したまま収穫し、へたの中心からまっすぐ穴をあける方法。(↑)いくつか形のよいものに試みたが、ほとんど途中でへたが裂け、結局従来通りへたが短い口元になった。もうひとつは、長いへたを残したうえ、お尻方向から穴開けする方法。後で自然な風合いのひょうたんの姿を残せる。約半数はこのお尻からの穴開けとした。なお、口径6 mmでは種が出てこない。口元の形優先になる。ひょうたんを後で実用的な飲み物用容器として使うことはできないので要注意。出てこない種はそのままにするか、お尻の穴からボンドを注入し、固めるつもりだ。同時期に植えたゴーヤも収穫。最終段階の収穫だが、出来は今一つ。適当なものを選びお尻を少し切り、同じく水につける。もしかしてゴーヤの皮があとでひょうたんのように固まり、いぼいぼ風水飲みができるかもしれない。たのしみだ。(特許申請だ)
バケツは例年通り、といっても昨年は収穫がなかったが、45 cm径のもの2個を使用。水を張り、浮き上がるひょうたんを工夫して水に漬けこむ。(↓)
浮袋を無理に沈ませるようで、大変困難。今年から試みた、重いひょうたんをつるすネットを収穫後もそのまま生かし、庭石用に買ってあった砕石砂利の余りを詰め込み、使ってみた。浮かび上がる大びょうたんに重しを入れたネットをくくりつけ、落としブタで押さえつけ、さらにレンガを乗せ、ようやくバケツの蓋をした。蓋で押さえつけても水面のうえにどうしても空気の隙間が出来る。
心配であるがなるようになるさと思い、半ばあきらめる。2個目のバケツもいっぱいになり、急いで近隣のホームセンターでバケツを調達する。45 cm系のバケツは、なぜかみんな蓋が見当たらない。ので、仕方なく60 cm系の物を購入する。残りのひょうたんを頑張って入れてみると口切いっぱいになった。ちなみにひょうたんの切り口から注射器で水を入れようとしたが、全く入らなかった。へとへとになり作業終了。貴重な2時間を費やす。秋空の雲が奇妙、な一日が暮れてゆく。(↓)
平成24年10月26日 Day 14 水替え
収穫、水漬けから2週間たったので、水を替える。くさい!と思ってふたを開けるが、思ったほどではなかった。水面に浮き出たひょうたんは水線以上でカビが生え、キチンと水につかった部分に比べとても汚い。いったんひょうたんを取り出し、水を入れ替え、バケツもきれいにした。水面に浮き出て、汚らしくなった部分はなるべく上手に水中に沈めた。少しずつひょうたんが重くなっている。後で思ったが、この時点でひょうたんをよく振ってみれば、きっと入り込んだ水がなかでシャカシャカ音を出したかもしれない。振って水音が聞こえるのは、内部がきれいになりかけている証拠だ。来年からは2週間目によく振ってみよう。さらにこの時点で水を強制注入してみると、案外すいすい入ってゆくかもしれない。これも来年の課題だ。2週間前と違い、約20分程度でバケツ3個の水替え終了。皮はまだ固く、水漬けはもう少し必要。(写真なし)ゴーヤちゃんはちゃんと腐ってた。ゴーヤちゃんプルにして食べとくべきだった。
平成24年11月3日 Day 21 水替え
3週間たった。例により水替え。臭みは弱い。開けてみると、やはり水面に浮かんでいるものがいくつかある。しかし、先週ほどではない。おおむねきれいな様子。が、良く見ると前回出来た汚れはしっかりと残っているので、最初の2週間程度の完全な水没水漬けが肝心だ。取り出すとまずは皮がするりとむける。ひょうたん群を取り出し、簡単に皮をむき、水洗いする。このとき気付いたが、振ると中から水音がした。手元のホビー用50 ml注射器で、水を口から入れてみると、最初は入りにくいものの徐々にうまく行く。振れば振るほど内部が広がってゆく様子だ。少しずつ注入し、手ごたえがずっしりしてくると注入終了。最後は内容が吹き出てくるので、調子よくやりすぎるのは要注意。何度かしぶきを浴び、イラつく。次々と注水できると、だんだん作業が面白くなってくる。取り出して中の水音がしないひょうたんも、振りを加えると少しづつ手ごたえがしてくる。丁寧に水を押し込む。うまく満水にできると、水中にするりと沈んでいった。ただし最後まで注水が不完全で浮かび上がるものもあり、仕方なく落としブタでおし込んだ。(↓)しかし、それ程強い浮力はもうない。
作業途中でなかなか形がよいひょうたんを見つけた。元気良く皮をむいているといきなり崩れた。(↑)よくみると薄い肉厚(肉うす)な出来具合のものである。残念だが仕方ない。余裕があれば修復しよう。捨てずにとっておく。
この日、未収穫だった千成ひょうたん群も思い切って収穫した。約40個。(↓)大収穫となった。しかし、来年はまた収穫できない可能性が高い。それはそれとして並べてみる。
ドリル径は前回同様6 mmで統一。すべてお尻から穴開けし、へたは十分な長さを残した。余ったバケツ空間に早々沈めこむ。といっても浮力はそこそこある。最初に処理した大びょうたんとは違い、落としブタ上に少々レンガ、小石を入れたネットなどのせて容易に沈みこませることが出来た。3週間の水漬けでどう変わるか、ある程度の予測はできる。千成ひょうたんでも、3週間前に漬けこんだ先行試作品が少数あり、本日そのうちの一つをみるとちょうどよい感じだ。皮はきれいに向け、注射器で水をよく注入、排水できる。お尻の穴から見ると肉の厚みも十分。何度か内部の水を替え、千成ひょうたんの先行群の水漬け作業も完了とした。最初のグループ(大ひょうたん)は来週完了予定。本日の千成ひょうたんグループはあと3週間予定とする。
平成24年11月4日 Day 23
ひょうたんの浮き上がりが気になり、そっとバケツの蓋を開けてみる。と、思った通り、浮き上がっている。(↓)ずれた落としブタを水平に戻し、蓋をする。くさみほぼ無し。腕が後でかぶれてかゆい。
千成ひょうたん先行試作品の乾燥中。保温器に入れるもなかなか乾燥しない。(↓)ので、出して撮影した。
ちなみに隣はガラス製赤ひょうたん。(非売品。いずれ紹介)ちなみに江戸時代、ないしそれ以前はひょうたんが実用品とされており、今回のように心血を注ぐ芸術品、言い過ぎたのであれば美術品として扱われたことはないと思う。平成の時代に生まれてよかった。ちなみにこの写真は東京湾に浮かぶお台場で、公園でもある。(↓)江戸時代の日本人にとっては遊び場ではなく、黒船に備えた真面目な軍事施設である。ところ変われば品変わる、時が変われば品変わる。